第38回テレクラス会議

大阪ーソウルー北京ーハワイ

多地点接続テレビ会議


[開催要項]

行事名:テレクラス国際共同学習発表テレビ

「高校生が結ぶ地域社会:国際編」

 

日時:1998.3.21 (土) 10:00ー12:00(日本時間)

ソウル:3月21日 土曜日 10:00am

 北京: 3月21日 土曜日 9:00am

ハワイ:3月20日 金曜日 3:00pm

場所:大阪 KDD大阪支社7F公衆テレビ会議室

ソウル KDDソウル事務所

北京 KDD北京事務所

ハワイ GTEハワイアンテレコムテレビ会議室

テーマ: "高校生が結ぶ地域社会:国際編"

主催 : テレクラス インタ−ナショナル ジャパン

 財団法人マルチメデイア振興センター

助成 : 財団法人国際コミュニケーション基金

  国際電信電話株式会社大阪支社

後援 : 文部省 郵政省 大阪府教育委員会

  国際電信電話株式会社

通信 : 国際ISDN回線サービスを利用した多地点接続テレビ会議

参加校: 大阪 大阪府立住吉高等学校 大阪府立枚方高等学校         大阪府立長野高等学校 大阪府立千里高等学校 

   帝塚山学院泉ヶ丘高等学校 大阪国際高等学校 大和田

     ハワイ Teleclass Hawaii Students

World History Class/ Korean Class

German Class/ Cambodian Class

   ソウル 正義女子高等学校 新亭商業高等学校

   北京 北京大学付属高等学校

参加高校数・生徒数

日本: 6校 22名 ハワイ: 4校 11名

ソウル: 2校 8名 北京 : 1校 9名

合計 13校 50名

開催趣旨:

  第一期・第二期の「テレクラス大阪」事業の実践を持つ大阪府高等学校テレクラス研究会の第三期事業「高校生が結ぶ地域社会:国際編」として、参加4ヶ国を同時接続したテレビ国際会議を1998年3月21日(土曜日)開催する。

KDD大阪支社テレビ会議室を大阪側会場とし、KDD大手町多地点接続操置によって4ヶ国を結び約2時間のテレビ国際会議とする。

海外参加校を日本に招待することなく、スクリ−ンを会議用テ−ブルに代える "テレビ国際会議"効果が "オフライン国際会議"効果にどのように迫れるか比較をする。更に国際テレビ会議の独自性とその教育的利用を高めることも大事な目的のひとつである。特にテレビ電話・テレビ会議による学習は、各国間の時差、カリキュラムの相違、事務手続きの相違、通信機器の相違等多くのバリアがある。しかしKDD/NTT企業技術、財団助成資金、教育行政、そして企画主催テレクラスが大阪府高等学校テレクラス研究会と共に、1995年APEC編・1996年ASIA編と各々5ヶ国同時接続国際会議を開催した経験を生かして、グロ−バル教育の観点から、国際共同学習に取り組む。

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[ プログラム]

0:00 オープニング 長野高校

0:10 帝塚山学院・枚方・大阪国際大和田・

正義女子・新亭商 ホストタイム

トピック Part 1:日常生活に見られるアジア各国製品

トピック Part 2:アジア経済

0:40 千里・北京大学付属 ホストタイム

トピック::伝統的な品々

1:00 住吉・ハワイ ホストタイム

トピック:模擬国連

1:20 長野スペシャル タイム

トピック:漢詩鑑賞

1:40 フリートーク

1:45 クロージング 千里高校

1:50 教師による会議 テレクラスの上手な使い方

2:00 エンド

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[ アンケート結果より抜粋 ]

生徒用

この共同学習から何を得ましたか。

・英語力の必要性 相手の英語がすばらしかった

・各国の伝統的なもの

・雰囲気

・交流の楽しさ

・日本のことが良く知られている

・共通点が多くある

・学校のシステム

最も印象に残った箇所

中国人のパワ−、にぎやかさ

ハワイの発表

自由に感想を書いて下さい。

・もっと相手の学校と打ち合わせを

・緊張しすぎる、もっとリラックスして

・圧倒されたが楽しかった

・海外の人と話せて良かった

・一方的な発表よりフリ−ト−クが良い

・他の人の積極性に驚いた、私ももっと頑張りたい、でも楽しかった

・初めてのテレビ会議ですぐ相手に伝わり返ってくる楽しさを知った。

これなら多くの国と触れ合えると思った。有り難うございました。

・今日交流した人と文通してもっと知りたい

・これからの英語の重要性は分かっているが、5年習ってもうまく話せないし書けない。是非テレクラスのような機会をもっと作って欲しい

(教師用)

テレビ会議について

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[感想メール]

千里高校から参加してくれ中岡君が感想等をメールで送ってくれました。

(谷口先生からの転送)

Subject: 今日のこと

こんばんは!中岡です。今日はお疲れさまです。

今日はアンケートにも書いたんですけど音と画質が悪かったので特に中国が聞き取りにくかったです。それはやってる間も思っていて、後で高木さんの説明を聞いて、ああやっぱり、と思いました。

内容はとてつもなく予定とは違いました。向こうがめちゃめちゃ話してきて、しかも音が時々途切れるので何を言ってるのか分からない時がほとんどでした。他の国とのを聞いていてもほとんど聞き取れなかったです。それは僕のリスニングの力がないだけなんですが・・・。

用意していたことのうちの4分の1もできなかった様に思います。

やはり打ち合わせがあまりなかったので思った様には行きませんでした。

それで、中国だけではなく今日つながっていた人たちとこれからもメールや手紙でやりとりしていきたいと思います。

英語のライティングの練習にもなるし・・・。色々なことが知れる

と思うので、有意義なものになると思います。

公立高校はインターネットの設備がなく、非常に残念です。

学校でいろいろできたら面白いのに、と思います。しかも、うちの学校は(全部そうだと思いますが・・・)もちろん生徒が勝手にパソコンを触れにふれる機会はないです。こねっとプランの助成を受けている(言い方はこれでいいのかなぁ?)住吉はどうですか?

個人的な希望としては、高校全部をつないで大学みたいに専用回線を設置できたらいいのに・・・と思っています。とある国立大学のパンフレットを見ると、100Mbpsとかの余裕でつながっているのには驚きました。しかも、大学のはとっても速いと聞いています。

で、お金の話なんですけど、今日の国際電話の料金は普通に払ったらいくらぐらいなんでしょうねぇ?2時間半、そして準備の時にもにもつながってたと思うんで、3時間ぐらいですか。しかも、韓国、アメリカ(っていうか、ハワイですね)、中国を結んでということは、かなりかかるでしょう・・・。で、しかもあれは普通の電話回線では到底つなげませんから

(・・・と思うのですが、まさか64kbps、128kbpsとかですか?)それ相応の太い回線を使うと思うんですが。そしたらものすごいことになりませんか??それに協賛してくれたKDDに感謝です。

そして、色々と協力していただいた先生、高木さんたち、KDDの方に感謝です。もちろん、お金を出してくれたから感謝する、って事ではないですけど、いろいろとやってくださった方に本当に感謝です。

それでは、さようなら!お疲れさまでした!

辻先生「新コクサイカ日記」より

新コクサイカ日記(122)

97/3/22

さて、昨日の韓国(ソウル)・中国(北京)・ハワイ(ホノルル)を結んだ4カ国テレビ会議だが、色々問題をはらみながらも大成功だった。今回北京の高校が参加したが、これは主催側のテレクラスの活動の中では初めての試みだった。北京とは国家体制の違いでコンタクトを取るのが難しいこと、電話回線やISDN回線の稼動状況問題があったのだが、テレクラスの努力で、今回の多地点会議に北京の参加が実現した。ただ、回線状況が悪いため、他の3カ国がその悪い回線状況のレベルに合わせて設定しなくてはいけないということで、画像・音声ともに、かなり落ちていた。したがって、会議の進行がスムーズに行かず、間延びすることも多く、結局、予定の2時間を大幅にオーバーして3時間弱という長い会になってしまった。最後の方は生徒たちも集中力が切れてしまい、だれてしまったが、この辺の事情をテレクラスの高木さんは次のように話された。

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今、辻先生の方から、満州から引き上げ時に私が体験した戦争の悲惨さがテレクラスの活動の動機となったとお話がありましたので、それに関連してお話させていただきます。

満州で終戦を迎えた時、私は6歳のクーニャン(少女)でしたが、この時、町を歩くと、自分が親しくしていた中国人の子どもたちは別として、あちこちから石を投げられました。ですから、町角から町角へ移動するときは、大急ぎで走って石のつぶてから身を守ろうとしていました。中国人たちが家に押しかけてきて、銃をつきつけ私たち子どもは壁に向かってホールドアップしていましたが、父や母は、なぐる蹴るの暴行を受け、家のものはすっかり、赤ちゃんのおしめまで持っていってしまいました。

戦争は世界のあちこちで今も起きています。少し前ですが、サラエボで戦争がありましたが、あの時、テレビで、逃げ惑う子どもたちが映し出されましたが、ああいう映像を見ると私の小さい時の姿とだぶって心が痛むのです。色々な国の若い人々を結んで、お互いのことを理解することが、少しでも、平和に役立つのではないかというのがテレクラスを始めた理由の一つです。

もう一つ、海外とテレビ会議をやる場合に皆さん、今日の会議でも気がつかれたと思いますが、英語が大切です。もうちょっと、ヒヤリング力があればとか、もう少し、話せたらとか思われたと思いますが、その気持ちを持ち続けて、英語の学習に励んでいただきたいと思います。

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高木さんの話しを黙って聞いていた高校生たちが心の中で何を考えていたか僕にはわからない。ただ、学校の外にでて、テレビ会議を通じて海外の高校生と会議を行い、高木さんのような活動している人々と接することが、どれほど彼らの人生の中で貴重な体験なのか、僕は、若くしてこのような活動に参加できる彼らをうらやましく思うのだ。

2時間40分という長丁場の会議は、大阪南部の長野高校の生徒による「ハロー・コリア、ハロー・チャイナ、ハロー・ハワイ、マイ・ネイム・イズ・ヨーコ・オカザキ・フローム・ナガノ・ハイスクール」という挨拶でスタートを切った。の挨拶でスタート。会議中、本校の生徒は韓国語を、中国語を選択している千里高校の生徒は中国語を話し、ハワイや韓国の生徒が日本語を話す。こんな会議が高校生レベルで実現しているところに「時代」を感じたのは、僕だけではなかったようだ。

新コクサイカ日記(123)

97/3/22

多地点高校生国際会議で最初のセッションを担当したのは本校の生徒7名。すべて国際科2年生で、司会進行役を務めたのは韓国語をネイティブ並に話し、英米圏での留学経験があるケイコ。「アンニョンハセヨ。ハロー・アイム・ケイコ」と韓国語と英語をミックスしながらの司会。隣にはオーストラリアに1年間留学し、大阪高校生英語弁論大会で2位を受賞したサトコ。女子高生のバッグに入っている日常グッズの紹介では、それぞれのグッズについてケイコが韓国語で、サトコが英語で短く解説しながらスピーディーに会の進行に努める。本校に与えられたもち時間は20分だから、日本側のペースで、間を置かないように、カットするところはカットして状況判断しながら、てきぱき進めるように念を押しておいたのがよかったのか、うまく進めていた。

「韓国の皆さんの方でアジアの経済問題をテーマにしたいということで本セッションでは経済問題を取り上げることにしましたが、どういうわけで経済問題を希望されたのですか」という司会者の質問に韓国側からは「韓国は今深刻な経済不況をかかえていて、失業者も多い。これは韓国だけの問題ではなく日本やアメリカとも関するかと考えたからです」という回答が返ってきた。

司会者:日本も経済はよくありません。ところで、韓国の方で日本に対して質問がありますか?

韓国:自由時間をどのように過ごしていますか

本校:「ショッピング」

「カラオケ」

「今年は大学受験があるので、勉強しないといけません。韓国の方も勉強しますか」

韓国:「もちろんです」

本校:(韓国製品を見せながら)

「これはハローキッティですが、韓国にもありますか」

韓国:「イエス。いっぱい。流行しています」

本校:「どらえもん。これはどうですか?」

韓国:(日本語で)「とても面白い」

本校:(烏龍茶を見せて)

「中国どうぞ。この茶、知ってますか?」

中国:(途中、回線が落ちて中断)

「イエス」

本校:「烏龍茶、飲みますか?」

中国:「時々飲みます。」

本校:「普通、どんなお茶を飲みますか?」

中国:「グリーンティーを飲みます」

本校:「グリーン茶は日本のだと思っていましたが、中国茶?」

中国: 「色々な茶があります、中国には。紅茶もあります」

本校:「では、バック・ツー・コリア。ハロー・コリア。韓国の皆さんの方で紹介したいものありますか?」

韓国:「韓国では日本製たくさんあります。プリクラ、韓国でもはやってますよ。女子高生に人気があります」

「韓国では今、カバンに韓国の国旗シールを貼って通学するのがはや っています。このランドセルを学校にもっていくのです。国旗をつけて。それは私たちの国を愛そうという意味があるのです。このカバンを他人に見せて、おこずかいをつかわないようにして節約し、学生も韓国の経済問題に対して一緒に考え・参加するという意志を見せるのです。」

本校:「ハワイの皆さん。韓国の問題、どう思いますか?」

ハワイ:「グッド・フード」

かなり、とんちんかんなやり取りもあったが、会議は、千里と北京のセッションで大いに盛り上がっていく。

新コクサイカ日記(125)

97/3/25

さて、環太平洋多地点テレビ会議の続編を書かなくてはいけない。

本校の次は、枚方高校と韓国の新亭(シンジョン)女子商業高校のセッション。これは枚方の生徒が1名(それと別の高校の友人一名)だけの参加だったために7分という短いセッションだったが、授業料やアルバイト、インフレ、教科書の値段など、「経済問題」を身近なところから話し合った。「教科書は韓国でいくらしますか」という問に「1000円」という返事が返ってきたが、これを100円と聞き間違って、日本側がベリー・チープと返すと、「ベリー・チープ!?」という返事が笑いとともに返ってきた。これは、円・ウオンの換算を双方勘違いしたためだったが、このあたりも後でフォローが必要かも知れない。

韓国の生徒は、コンビニ、ガソリンスタンド、喫茶店などでアルバイトしていると答えたが、これは、商業高校の生徒の場合だろう。普通高校は大学受験勉強で、その余裕がないものと思われる。この辺もフォローをしないと生徒が誤った認識・知識を持つことになり、目標とする国際理解ではなく国際誤解を招くことになるかも知れない。

  そういう意味で僕たち教員の事前事後のフォローの役割を担うことになる。アルバイトの件は話しやすいと見えて、ハワイの方から「ハワイの高校生の80パーセントはアルバイトをしています。最低料金は5ドル25セントと決まっています」と発言。そこへ元気のよい北京の生徒が割り込んできた。

「アルバイトは、学校のためにします」

そうか、中国は社会主義国だから、アルバイトも公共の利益のためにするのかと受け取ったのだが、これは、ひょっとすると自分の学費のためにするという意味なのか、この辺、もう一つはっきりしない。

 こんなふうに多地点会議では、それぞれのお国柄や地域の状況がその場で感じ取れるというメリットがある。

その北京の生徒、写真を見せる。「これは、夏のキャンパスの写真、これは秋の、、、。」次に巨大たこを見せて「これ、何かわかりますか」。「ところで、どうして女子校、男子校と分かれているのですか」と次々の「発信」してくる。完全に北京の土俵の上で会議が回転しはじめ

た。

「あっ、これは(中国側が間違って)次のセッションに入っている」

という千里高校のT先生の声に「ちょっと待って」と住吉高校のT先生が調整に入る。すると中国側から、Take your timeというコメントが返ってきて、会場は爆笑。

「アイスクリーム、キャンディー、ソフトクリームなど皆値段が上昇しています。それでお金を節約するようにしています。日本はどうですか」と新亭女子商業高校。「日本では一年のはじめにお年玉をもらいますが、足りない部分はアルバイトで稼ぎます」

「日本では雇用問題がありますか。韓国では会社が倒産しているので

失業が大きな問題です」と深刻な質問が韓国からくる。これに対して日本側は「高卒では仕事がないので、アルバイトで生活費を稼いでいる人もいます」と返す。

まあ、こんな感じで経済不況を反映してか、日韓高校生セッションは深刻ムードで終了。会議は、千里高校と中国にバトンタッチされた。

新コクサイカ日記(126)

97/3/25

「ハローチャイナ」日中高校生セッションは、千里高校の呼びかけで始まった。続いて同じ千里高校のリーダーが「せいのう」と音頭をとり、いっせいに、「タンシャンハオ」と大きな声を出す。中国側は「おはようございます」と日本語で返す。

「アイム・ユースケ。僕のメール読んでくれた?」と言うと、中国側

は、イエスと答えて、メールと一緒に送っていたユースケ君の画像を見せる。積極的な中国側は、学校の名前を漢字で書いて見せたり、先ほど見せた学校のキャンバスを再度紹介したり、大きなタコの絵を見せて、これ何かわかる?と質問。 I think it is a kiteと日本側が答えると、イェーイと喚声が中国側から返ってくる。

次は泥でできたマスクを見せながら、Do you know mud?と尋ねる。兵ばい王だ。今度は動物だ。「マンキー」と日本側が答えると、中国側は、yes, it's a monkeyと答えて、ワッハッハと笑う。

完全に中国側のペースだ。たまらず、横から見ていた住吉高校のT先生が「こっち側のペースでやろう」とアドバイス。そこで、日本側が「サンキュー」と言って、こちら側が準備しているテーマに話しを戻そうとしたところ、まだまだという感じで、切り絵を見せて、Do you like it?と質問してくる。

こんな感じで中国側の「攻勢」が続いたが、ようやく「(日本側で)見せてくれるものありますか」と中国が質問。日本側にバトンを渡す気になった。

日本側では用意していた「足袋」「下駄」「梅干し」などを見せて、中国側に答えさせる。結構、わかったものもあった。次に茶せんを見せる。

its something for teaと中国側から的確な答えが返ってきて、日本側は拍手。

このセッションはまだまだ続く。

「中国に来たことあるか」とか「北京においで」。それから、中国語

の単語を見せて、日本側に読ませたり、日本側が用意した文章を中国に読んでもらったり。そんなやり取りの中でも面白かったのは、中国側が「酒井法子」というフリップを見せたことだ。 日本側が「こんにちわ」というフリップを見せて中国側に読んでもらおうとすると、またもや「酒井法子」のフリップを振っている。まあ、こんなことを3回繰り返して、日本側を笑わせる。

そんな中国のおどけた態度にわれを忘れて笑っていたのだが、あれっ、これって、ハワイや韓国は分かるのかなと、ふと、われに返る。

ようやく、千里・北京のセッションが終わり、住吉とハワイのセッションが始まる。そんな中へ再び中国が割り込む。サッカーの「三浦」「中田」俳優の「織田祐二」のフリップを見せたり、最後の長野高校のセッションでは、「川はリッチ。これ何か分かりますか?」となぞなぞを仕掛けてくる。「川には堤防bankがあり、このbankは銀行という意味もあるから、リッチとなる」、まあ、こんな言葉遊びだと日本側が気づくには、しばらく時間がかかった。

というわけで、途中、回線が切断されたり、元気のよい北京の高校生

たちに振り回されながら、延々2時間40分の会議は、無事、終了する。

僕も最後の方は集中力が切れてしまい、ラストのセッションの長野高

校の記録はとれなかった。ということで、会議が終わったときには、参加者たちの顔には疲労の色、色、色だった。

辻先生、詳しい記録を有難うございました! (TIJ)

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[TIJ まとめ ]

多地点でする意義をお互いによく理解しあって、準備期間を十分とって本番にのぞむようにすべきである。日常的には電子メールやCu-SeeMeで交流し、多地点のテレビ会議はテ−マにそっての研究発表の場というのが理想的ではないだろうか。多地点の場合、進行(プログラム)を良く知っている教師が、強力なMCとして必要である。せいぜい10分位の時間延長にとどめるべきである。北京の通信環境にあわせて、音、映像が悪かったが、初めての北京の参加と彼らのパワ−フルな姿勢、韓国のお国事情、ハワイのマイノリテイのアジア人種の発表などそれなりの意義があったと評価したい。

日本の参加校に関しては、場慣れしている学校はおごることなく、初めての学校は下を向いて読むだけでなくコミュニケ−ションの仕方を工夫するなど必要である。

(TIJ 永井)

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助成先「国際コミュニケーション基金」

への事業終了報告から:

[ 実施概要 ]

貴財団の助成を受けた本事業は、文部省・郵政省・大阪府教育委員会の各後援名義使用許可を得て、大阪府高等学校テレクラス研究会指定校5校並びに希望校1校、海外校は韓国2校・中国1校・ハワイテレクラス指定4校の合計3高等学校50名の生徒の参加をもって、3時間弱にわたる国際テレビ会議を終了しました。テレクラス事業の中で38回目のISDN回線サービスを使った国際テレビ会議であり、また1995年APEC編・1996年アジア編についで3回目の多地点接続テレビ会議でありました。

初めての中国・北京高校生の参加を得ました今回の開催要綱とプログラムとプログラム シナリオ内容は、資料を添付します。

1998年2月9日・3月2日に大阪側参加校教師・KDD関係者・テレクラス スタッフが2回の打ち合せ会を持ち要点を決めましたが、1997年11月からこの事業について、テレクラス大阪メーリング リスト上での発信が始り、開催当日朝までの260件にのぼるメールのやりとりで細部の打ち合せが進められました。この関係者間のメールのやりとりは、国内の関係者だけではなく、当然、韓国2校の先生、北京の先生・ハワイのコーデネーターも含まれています。

また、この会議に至る迄に、大阪の参加校の一つである帝塚山学院泉ヶ丘高校と 韓国の参加校正義女子高校との間でテレビ会議「地域に見られる韓国―陶器山の歴史」や、大阪・千里高校と北京・北京大学付属高校・ハワイとのテレビ電話交流があり、生徒間交流が始まっていました。

そのためプログラムは、帝塚山学院泉ヶ丘高校が韓国の2校とチームになって"Korea Session"を、千里高校が北京大学付属高校とチームを組んで"ChinaSession"を、住吉高校は昨年テレビ会議をしたハワイの高校とチームを組んで、"Hawaii Session"を、長野高校は漢文を中心とした"Special Session"をというように、展開しました。

[ 反響 ]

通常の一校 対 一校の国際テレビ会議に比べて、多地点接続テレビ会議は、複数の学校・多人数の参加生との共同作業となり、サイズも大きく、大きな反響を呼びます。今回の多地点接続テレビ会議は、共同作業を通して北京・ソウル・ハワイ高校生との仲間意識を育てる面で、事後アンケートを通じ、多くのいい反響がありました。

[ 成果と感想 ]

過去2回の多地点接続テレビ会議と比較して、新しい展開や成果が5つあります。

1. 国際テレビ会議は、参加者が移動することもなく、スクリーン上で他国を訪問し、 互いにコミュニケートしながら共同学習を進めますが、多地点接続で4乃至5カ国が同時にリンクされると、上記の高校生同士の仲間意識が働き合って、学習以上の国際理解を体験するようです。特に今回は初めて中国からの参加を得て、彼等の元気のよさに大阪も含めて全員が中国の印象を変えました。

2. 事前・事後における参加校教師間でのメールのやりとりが定着して、その威力に驚きます。 国内・国外を問わず一つの電子メールが全員に用を足すわけですから、時間的にも経済的にも、このような複数の国際間事業の場合、電子メールを抜きにしては準備も考えられなくなりました。

3. 教師間で、一つの国際間事業を準備するに当たり、各国・各校の時差・カリキュラムの差・学校事務の差など、多くの問題の解決点を互いに協力して見出し、生徒に先立って国際共同事業におけるコラボレーションを体験されました。この充分なコラボレーションの有無が、事業の継続と結果に現れるとテレクラスは考えています。

4. 大阪の高校生による総合司会や各チーム毎の司会が、定着しました。教師は余程の場合でなければ口も手助けも控えて、生徒の頑張りを待ちます。生徒自身も辛抱と協調で活路を見出し、自信をつけています。

5.各プレゼンテーションが、未だ充分とは言えませんが、用意した原稿を読むことから、見せる・聞かせる工夫へと発展しています。設問の内容の工夫やそのテンポの良さなど、相手のことや会議全体を意識した心配りが見られます。これは、やはり体験を重ねることによって出来る成果と思われます。

以上の成果を踏まえてテレクラスとしての感想を、以下の3点に述べます。

1. 長引いても2時間半と事前の打ち合せをしていたのですが、結果は3時間近くなりました。早く終わった大阪の参加校生は、次第に退屈になり、他校の発表などを批判的に見るような言動が見られました。これは、大阪参加校全体の生徒の打ち合せがなく、ホストとしての自覚や協力がまだ十分に育っていないからでしょう。

2. 教師が忙しく、参加生との時間も充分とれない事情は分ります。ですから尚の事、一人の生徒が「このような企画はもっと早く生徒におろして欲しい」と言ったように、参加する生徒に内容や運営を任せて欲しい。参加校の生徒代表が集まり、内容や進行について協議検討し、海外校にもメールで知らせて同意を得る。この過程で ホストとしての自覚と協調性が育つと思われます。

3. 海外相手校とのトピックスに沿った生徒間メールのやりとりに、もっと時間が欲しい。これは相手のプレゼンテーションをよく理解し、それによって的確な質問が用意できるからです。特に互いが第2言語である英語を使う場合は、このメールのやりとりが少ないと折角のプレゼンテーションが宙に舞う危険があります。

しかしながら上記のような感想や次回の生徒への期待が高まるのは、やはり大阪で多地点接続国際テレビ会議を繰り返し開催し、その結果出てきたものです。このような国際テレビ会議が、学校教育の中に日常的に組み込まれ、生徒が自主性と協調性を身につけながら、英語力やコミュニケーション能力を高められる時代が来ることを願っています。 (TIJ高木)

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